30年で患者数が約3倍に!
増加傾向を示す口腔がん
国立がん研究センターが、口腔・咽頭がんの患者数を公表しています。
お口の解剖学的な構造を考えると、口腔・咽頭のうち口腔が50〜60%ほどの容積を占めています。
同研究センターのデータは、口腔・咽頭がんの合計ですが、解剖学的な視点で捉えると、口腔がんがこのうちの約半数を占めると考えられます。
特に時代が昭和から平成に変わった頃から増加率が上がり、統計開始の1975年からの30年間で、患者数が3倍にもなっています。
高齢者だけでなく、若い世代にも増えています
口腔がんに罹患する年齢別と性別の分布
口腔がんになりやすい年齢と性別
年齢別で見てみますと、60代以上の方に最も多く、50代以上で区切ると全体の80%弱を占めています。とはいえ、以前では考えられなかった10代や20代といった若年層にも発症例がみられるようになっています。
性別では、女性よりも男性に発症しやすい傾向がみられていました。1980年代までは男性:女性=3:1だったのですが、最近では女性口腔がんも増えつつあります。この背景には、女性の社会進出の増加によりストレスやアルコール摂取、喫煙などの生活習慣の変化があるのかもしれません。
口腔がんは、高齢者や男性に多いというイメージがあるようですが、もうそれは、古いイメージなのです。
先進国での口腔がんの死亡率
現在、世界中で口腔がんと咽頭がんで毎年40万人以上の人が亡くなっています。
最近のデータでは、アメリカでの口腔がんと咽頭がんを合計した死亡者数が年間約9500人、日本のそれが約7500人です。
アメリカは、日本の3倍近い人口があることを考えると、咽頭がんを含んだ数値とはいえ、日本での死亡率はとても高いと考えられ、特に死亡率の増加率では先進国全体でみても際立っています。
No. of deaths - Mailgnant neoplasm of lip, oral cavity and pharynx, both sexes
http://apps.who.int/healthinfo/statistics/mortality/whodpms/