口腔癌のリスクのある生活習慣
近頃、テレビやマスコミでの報道により口腔がんが幅広く知られるようになりました。
舌の痛みや口内炎、歯茎の腫れなどいろいろな理由で、不安を感じ、歯科や歯科口腔外科を受診される方が増える一方で、他人事と思いあまり気にしない人も珍しくありません。
ですが、口腔がんになると、食事や会話などの日常生活にとても大きな影響が出ます。
そこで、今回は口腔がんとはどのような病気なのか、そして口腔がんのリスクを高めてしまう生活習慣にはどのような習慣があるのか、わかりやすく解説します。
口腔がんってどんながん?
口腔がんとは
口腔とは『お口』のことで、漢字本来の読み方では「こうこう」ですが、歯科では「こうくう」と読んでいます。
お口の中は、舌・歯ぐき・口腔底(舌の下)・頬・口蓋(上顎)・顎の骨・唇などに分けられますが、そのいずれの場所にもがんは発生する可能性があります。『口腔がん』とは、これら『お口』のいずれかの部分に生じた『がん』の総称なのです。
発症しやすさでみてみますと、60代以上の方に、そして男性に発症しやすい傾向があります。ですが、最近では女性や若年者の口腔がんも増えつつあります。
口腔がんは、初めの段階では痛みを感じることはありません。
痛みがないということで一見すると良さそうに思われるかもしれませんが、単なる口内炎と思ってしまい、早期発見を遅らせてしまう原因なのです。
進行していくと、痛みが出るようになりますが、痛みが出たとしても、お口の中にがんができると知らないために、がんと思わずに放置してしまい、重症化してしまうこともあります。
重症化した口腔がんは、がんになったところを大きく切除して取り除き、取り除いた部分を補うために、身体の他の部分から組織を移植する手術や、抗がん剤による治療が行われます。
重症化すれば、それだけ切除する範囲が広くなり、お口の機能が損なわれるようになります。
ですが、早期に発見できれば、がんが小さいうちに治療が受けられるので、それだけ切除範囲も狭くすることができます。
手術後は、手術によって取り除かれたお口の機能を回復させるためのリハビリが欠かせませんが、切除範囲が狭ければ、発音や発声、飲み込みなどのお口の機能への障害も少なくて済むので、負担もより少なくなります。
もちろん、最初のリスクも低くなります。
ステージⅣでの来院が多い
ステージとは、がんの進行度合いを示す指標です。ステージは、そのサイズや深さ、そして転移しているかどうかによってⅠ〜Ⅳの4段階に分類されます。
ステージⅠは、幅2[cm]以下、深さ5[mm]以下です。ステージⅣは幅4[cm]以上、深さ10[mm]以上で、隣の臓器や器官に広がっていたり、リンパ節に転移を認めたりします。
口腔がんに放置による重症化の傾向があることは、前述した通りですが、それは実際の統計からも明らかになっています。
2016年に日本国内の158の医療施設が調査した結果によりますと、口腔がんの2505症例のうち、来院した時点ですでに35.8%がステージⅣだったということです。実に3人に1人がステージⅣになるまで放置していたわけです。
定期検査で早期発見しよう
がんの原因は、食事やアルコール、タバコなどの生活習慣やウイルスだと考えられています。
口腔がんの場合は、それらに加えて、お口の粘膜への慢性的な刺激も原因に加わります。なぜなら、粘膜への刺激が繰り返され、細胞の修復が繰り返されるうちに、細胞に異常が生じるからです。そして、口内炎から前がん病変、口腔がんへと変化していくのです。
では、口腔がんを早期に発見するにはどうすればいいのでしょうか。
まずは、セルフチェックです。
そして、半年に一度は、歯科医院や病院歯科で舌やお口の粘膜の状態を診てもらうようにしましょう。
レッドアンドホワイトリボンキャンペーン2020は、全国の皆さんに、口腔がんに関しての意識を持ち、まずは日常的に口腔内に関心を持っていただけるように活動を行っております。